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防衛費強化と水増し



防衛力の抜本的な強化に向けて検討を進める政府の有識者会議は、9日夕方3回目の会合を開き、有事に備えた研究開発や公共インフラの在り方について議論しました。
この中で政府側は有事の際の国民保護を円滑に行うため、関係省庁による会議を創設し、沖縄の先島諸島など南西諸島の空港や港湾の機能強化を図る新たな仕組みを検討する方針を示しました。
このあと岸田総理大臣は「研究開発や公共インフラとあわせて抑止力強化のための同志国などとの国際的協力とサイバー安全保障についても関係府省が連携する新たな仕組みを構築する大きな方向性を共有することができた」と述べました。
そのうえで従来の防衛省や海上保安庁の予算を補うものとして
▽研究開発
▽公共インフラ
▽国際協力
▽サイバー安全保障の
4つの分野を総合的な防衛体制の強化に資する経費とする、新たな仕組みをつくり、必要な規模を検討するよう関係閣僚に指示しました。

ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮のミサイル実験、そして何より中国の台湾侵攻などの安全保障環境の悪化を受けて、故安倍元総理のイニシアチブを引き継ぎ防衛費強化や予算の倍増が検討されてきた。


同時にNSSや防衛省を中心に国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画のいわゆる3文書の改訂を同時並行的にすすめ、予算の獲得ための裏付けとなる戦略や計画が策定されているところである。


そんな中、防衛省の取組とは裏腹に「防衛力強化に向けた政府の有識者会議」なるものが開催され、なんと防衛費の中に海保予算数千億円、研究開発費、国際協力、公共インフラの整備など、直接脅威に対処する防衛力の概念からかけ離れた項目までを防衛関連費に含め、水増しする試みが進んでいる。驚くべきは最高指揮官たる岸田総理もこれに加担している点だ。


NATO基準では確かに防衛関係費の中に海保予算が含まれるが、日本の海上保安庁は有事においても軍または準軍事組織として活動することはない。NATO諸国のコストガードとはそもそも組織が違うのである。そんなものを防衛費に組み込むというのは防衛費増加を隠れ蓑とした単なる海保の予算強化にしかならないだろう。


国際協力や研究開発はその意味することの幅が広く、「防衛力強化に資する」と言い張って全く異なる目的の政策に流用される可能性が高い。そもそも、軍事研究はともかく、国際協力を防衛力として位置付けている国など世界中探しても存在しない。

また、文科省や大学や学会組織は戦後一貫して軍事研究を拒否してきている。予算取りの段階でのみ軍事研究をやると銘打って、羊頭狗肉になる未来しか見えない。


一番の狂気はインフラ整備費を含めているところである。日本の輸送インフラの多くは国交省が所轄しており、毎年10兆円程を投入している。防衛に間接的に関連するインフラは他にも総務省の通信インフラ、経産省の電力インフラがあげられるがどちらも例年莫大な予算を投じている。

仮に、「重要インフラだから」「自衛隊は道路や港・空港を使うから」といってなんでもかんでも防衛関連費として計上すれば、すぐに数兆円の予算が積み上がり実質の防衛費はマイナスになる。


こんなアホな水増しは絶対に許してはならない。


ましてや円安により防衛装備は軒並み高騰して、現在の防衛費では仮に1.3倍に増加してもマイナスである。



ちなみに、首相補佐官の岸元防衛大臣や小野寺防衛大臣はこの水増しに大反対している



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