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プロフィール

(以下、ウキペディア引用)
山中 竹春(やまなか たけはる、1972年9月27日 - )は、日本の科学者、政治家。横浜市長(1期)[1]。元横浜市立大学医学部教授[2]、元横浜市立大学大学院データサイエンス研究科長。
来歴
埼玉県秩父市に生まれる[3]。秩父市立秩父第一中学校卒業[要出典]。早稲田大学本庄高等学院在学中はラグビー部に所属[4]。
1991年3月、同校卒業。同年4月、早稲田大学政治経済学部に入学[注 1]。1996年に同学部を卒業。卒業年は長い間1995年とされたが、市長当選後訂正された(後述)。
1996年、早稲田大学理工学部数学科に学士入学。1998年3月、同大学同学科卒業[8]。
2000年3月、早稲田大学大学院理工学研究科数学専攻を修了[9]。同年、九州大学医学部附属病院(現・九州大学病院)に助手として採用される[10]。
2002年、アメリカ国立衛生研究所(NIH)に留学[11]。付属研究室の「Epigenetics & Stem Cell Biology Laboratory」に所属した[12]。NIH時代の肩書は「リサーチフェロー」と「ビジティングフェロー」の2説あり、現在も市議会において調査対象となっている(後述)。
2004年から2005年まで先端医療振興財団(現・神戸医療産業都市推進機構)の研究員を務める。2006年、国立病院機構九州がんセンター室長に就任。2012年から2014年にかけて国立がん研究センターの室長、部長などを務める[10]。
2014年、横浜市立大学医学部教授となる。データサイエンス学部設置準備委員会委員長[9][13]として同学部と大学院の設置に尽力。2018年、データサイエンス学部と大学院が設置される。同年、特命副学長、2019年に学長補佐、2020年に大学院データサイエンス研究科長[14]などに就いた。学外で内閣府と文部科学省の委員会委員[15]、日本癌治療学会、日本計量生物学会、日本統計学会、日本医療安全学会、稲門医師会で理事・評議員・委員などを務めた。
2021年横浜市長選挙
「2021年横浜市長選挙」も参照
2021年6月に横浜市立大学医学部を退職し、同年8月の横浜市長選挙に立候補した。港南台駅前にて。
2021年9月1日、総合防災訓練にてオンラインで対面した内閣総理大臣菅義偉(手前中央)と山中(奥右のモニター)。横浜市長選挙後、菅と山中が対面するのは初めて
横浜市では、2017年の市長選でカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致案を白紙にすると訴えた林文子市長が、政府の後押しもあり、2019年8月の記者会見で一転してIRの誘致を発表[16]。これに対し誘致反対を唱える市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は2020年12月、是非を問う住民投票条例の制定を求める署名を、請求に必要な法定数の約3倍の19万3,193人分集めた[17]。住民投票を行うための条例案は2021年1月8日に市議会で否決されたが、多くの署名が集まったことから同年8月に行われる横浜市長選挙で大きな争点になることが予想され、立憲民主党は「著名候補を担ぎ、野党で一本化できれば勝てない選挙ではない」との展望を抱いた。同年3月、立憲民主党は、県連最高顧問の江田憲司と県連代表の阿部知子をトップとする市長選準備会を発足させた。3月中に候補者を選定する方針だったが、決定に至らなかったため、4月8日の準備会で江田は「責任を持って候補を探す」と述べた[18]。候補者選定を一任された江田は4月12日、第三者を通して山中に初めて面会した[19]。
同年4月19日、「週刊新潮」の電子版が、横浜市長選挙について「菅首相の意中の人として、三原じゅん子厚労副大臣の名が上がっている」と報じた[20]。このとき江田は「自民党から三原じゅん子が出てきたらどうするんだ。勝てる候補をたてなきゃ」と公言したとされる。党内では、3月に結成された市民団体「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」[21]と調整しながら擁立を進めるべきだという声もあったが、江田は山中と元横浜DeNAベイスターズ社長の池田純[22]の2人に候補者が絞られた5月下旬に初めて、市民団体に具体的な状況を示した。この進め方に対し、市民団体側は「ともに署名活動を行ってきた候補者が望ましい」と再考を促した[23]。
ちょうどその頃、山中が世間から注目を浴びる出来事が5月12日にあった。山中は横浜市立大学医学部教授として、新型コロナウイルス感染症に関する日本初の中和抗体の研究結果を発表[24]。大々的に報道され、江田は翌5月13日、自身のブログに「横浜の誇りですね。横浜市立大学と山中竹春教授」と綴った[25]。山中はその後テレビ番組にも出演。江田らの間で「コロナの専門家」というキーワードが浮かび、IR誘致反対を争点に掲げるのではなく、山中を立ててコロナ対策を連呼する作戦が企図された[19]。
IR反対を訴え、菅義偉との関係が悪化していた横浜港ハーバーリゾート協会会長の藤木幸夫も、候補者選定を江田に任せていた。山中に決めた江田は6月14日午前、山中を連れて藤木を訪問。藤木の支持をとりつけた[26][22]。6月15日、立憲民主党神奈川県連は山中を擁立するべく最終調整に入った[27]。6月16日、毎日新聞と読売新聞が、立憲民主党が候補を山中にしぼったと報道[27][28]。報道を受けて横浜市立大学は同日午後、大学関係者に「(大学は)教職員の選挙活動及び政治活動へ関与することはありません」という趣旨のメールを送信[29]。山中は同日、東京新聞の取材に「立憲民主党など野党勢力の推薦や支持を得られれば出馬する」意向で、IR誘致に反対を明言[30]。
横浜市立大学理事長の小山内いづ美に辞意を伝えた時期は2説ある。山中は9月17日の市長定例記者会見で「6月18日の金曜日の夕方から夜にかけて」と述べた[31]。これに対し小山内は「17日の夕方、本人から私宛に電話があった」と証言[32]。その後、山中は12月15日の市議会常任委員会で「6月17日に電話で伝えた」と発言している[33]。
6月29日、立憲民主党の推薦を受けて立候補する意向を正式に表明した。市大関係者の一部は「前向きな理由とはいえ、これから成果が期待できる研究者を失うのは痛い」と語った[34]。同大学医学部を6月末で退職[29]。
「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」は中心メンバーの小林節が離脱するなど紆余曲折はあったが[23]、7月1日、山中の支持を決定[35][23]。7月8日までに社民党が山中の支援を確認[36]した。7月17日に自身の政治団体「横浜をコロナとカジノから守る会」(横浜市中区尾上町)の事務所開きを行い、藤木幸夫が代表に就任した[37]。7月21日、日本共産党神奈川県委員会が山中の支援を決定[38]。7月27日、連合神奈川が山中の推薦を決定[39]。7月29日、「無敗の男」と呼ばれ、選挙手法を伝授するため全国行脚中の中村喜四郎衆議院議員が横浜市に入った。中村は立憲民主党の中谷一馬と青柳陽一郎を連れて自民党に近い約30の団体を回った。中村はいずれの団体に対してもアポイントメントは取らなかった。門前払いされるところも少なくなかったが、「警戒されるから冷たい反応がある。野党が本気になっていることを見せるのが大事なんだ」と中谷らに伝えた[40]。
選挙告示から2日後の8月10日、朝日新聞が電話調査の結果を公表。「小此木がわずかな差で先行し、山中と林が激しく追う展開」と報じられたが[41]、選挙公報に掲げた「候補者のなかで唯一のコロナ専門家」というキャッチフレーズ[42]は市民に幅広く浸透。有効なコロナ対策を講じられない菅政権への批判と結びつき[43]、選挙中盤で情勢は逆転した。8月18日、中村喜四郎と青柳陽一郎は前回冷たくあしらわれた団体を再訪問。青柳は団体幹部に「みなさんは自民党候補に10-0で賭けていますが、両方に足をかけておいた方がいいのではないですか」と語りかけた。その後、小此木を支援する2つの団体が山中陣営に推薦状を持ってきた[40]。
8月22日、NHKなど複数のメディアは投票締め切りの午後8時に「山中当選確実」と報道。506,392票(33.59%)を獲得し[44]、他候補を大差で破り初当選した[45][46][1]。小此木を支援した自民党横浜市連は「最大の敗因は横浜での菅首相の不人気」と総括した[47]。8月30日、横浜市役所に初登庁[48]、市長就任[49]。
市政・公約
旧市庁舎の売却問題
林文子市長時代の2020年1月31日、中区本町に地上32階建の市役所新庁舎が完成した[50]。そして同区港町の旧市庁舎街区については、三井不動産を代表とする企業コンソーシアム「KANNAI8」によって再開発されることが決まり[51]、同年12月25日、建物の売買予約契約が締結された[52]。
ところが、耐震工事に62億5千万円もかけた市庁舎の建物[53]を7,667万5千円で三井不動産らに売却してしまうこと、事業者との定期借地契約の内容が平米あたり月額1000円であることなどが問題視される。2021年5月27日、林は市民団体「横浜市民の財産を守る会」から売却契約の差し止めを求める住民訴訟を起こされ[54]、6月9日には、市議の太田正孝と井上桜から同様の住民訴訟を起こされた[55]。
山中は市長選出馬表明後、「横浜では住民自治がないがしろにされてきた」「住民自治を取り戻し、市民が参加する機会をどれだけ増やすかということが重要だ」「横浜市政が市民の意見を聞くという態度を示すことが大切だ」と語り、林市政を批判[56]。「デジタルを活用した市民参加・住民自治の確立」を選挙公約の一つに掲げた[42]。建物売買予約契約の本契約の期限が同年9月末と迫っていたことから、山中の街頭演説にかけつけた立憲民主党の衆議院議員は「これは森友と加計の問題とまったく同じだ」と訴えた[57]。選挙期間中、解決を期待する市民から売却問題について質問を受けた際、山本は「自分が市長になればまず調査する。情報を公開し、対案も考える」と答えた[58]。
2021年8月22日に行われた市長選で山中は初当選。9月16日に行われた市議会本会議で、売却価格の妥当性について「早急に確認する」と述べ、本契約の決裁権を都市整備局長から自身に移管することを表明した[59][60]。9月24日、市民団体「横浜市の旧市庁舎の未来に住民意思の反映を求める会」(高橋健太郎代表)は、ネット署名とともに、本契約の一旦停止を市に求めた[61]。
同年9月30日、価格検証の結果「価格算定は妥当」と判断した山中は「KANNAI8」と本契約を結んだ[62]。
「新たな劇場」建設中止による財源確保
前市長の林文子は、西区の「みなとみらい21地区60・61街区」に「世界トップレベルのバレエ・オペラの日常的公演」ができるような劇場を建設する構想を立て[63]、2019年6月14日、「横浜市新たな劇場整備検討委員会」を設置した[64]。委員会は何度も開かれ、観客席数は県民ホール並みの2500席規模で、4面舞台やオーケストラピットを備え、ダンサーの負担軽減のため弾性があるバレエ床を設ける。建設費は約480億円、開業後の運営費は年約45億円と試算。収入は市費が年約14億円で残りはチケット収入や国の補助金などをあてこむ、などの計画がかたまっていった[63]。
山中は「オペラ座建設(615億円)の中止で財源確保」を公約に掲げ[42]、2021年8月の市長選に当選。市長就任後、整備中止を明言し、9月16日の市議会一般質問でも「将来に向け、新たな劇場計画にかかる負担として615億円は不要になる」と答弁した[65]。
ところが同年10月6日の市議会決算第一・第二特別委員会連合審査会で、草間剛議員の質問に対し、「新たな劇場は事業化されておらず、整備費は予算化されていない。公約は、劇場計画を中止することで615億円の財源が生み出されるような誤解を生む表現であり、適切ではなかった」と答弁。劇場整備の中止によって直ちに財源を生み出すことはできないとの認識を示した[65]。
3つのゼロ、中学校の全員給食
2021年8月の市長選挙に際し、福祉・教育面では以下の施策を重点公約に掲げた[66][42]。
敬老パス自己負担(75歳以上)の無料化
子供の医療費助成(中学生以下)の無料化
出産費用(基礎的費用)の無料化
中学校給食の全員実施
山中はこのうち、無料化の施策をまとめて、「3つのゼロ」と呼んだ[42]。当選から間もない9月15日、神奈川新聞は関係者への取材を元に、「3つのゼロの実現には年間約104億~約158億円の費用が見込まれる」と報じた[67]。また、中学校給食の全員実施は、初期投資に少なくとも84億円、多ければ372億円かかると試算された[66]。同年12月23日、市長定例記者会見で、朝日新聞の記者が「3つのゼロと中学校給食の全員制に関してはそれなりにお金がかかることだと思うが、お金がかかる公約について見直す考えはあるのか」と質問すると、山中は「公約については優先順位をつける。財源が厳しいことは承知している。厳しい財源の状況を踏まえながら、きちんと優先順位をつける」と答えた[68]。
2022年1月14日、新年度当初予算案の概要が判明。「3つのゼロ」と「中学校の全員給食」の実現に向けた予算は、いずれも盛り込まれない見通しであることがわかった。読売新聞は「市議会最大会派『自民党・無所属の会』の同意を、現時点では得られていないことが背景にあるとみられる」と報じた[69][注 2]。
人物
新型コロナウイルスに関する日本初の抗体研究発表
2020年12月2日、山中は横浜市立大学などの合同研究グループを代表して会見し[注 3]、新型コロナウイルスへの感染を防ぐ「中和抗体」についての新たな調査結果を発表した[71]。
2021年5月12日、さらにコロナに関する日本初の抗体研究の結果を発表。データに基づく客観的な結果として、全国的な注目を集めた[72][24][73][74]。
同年5月13日、東京都医師会の尾崎治夫会長は、自身のフェイスブックに「東京都医師会も研究に協力している横浜市立大学の山中教授の研究結果が出ました。日本人のデータをもとに、オリジナリティあふれる手法を用いた研究で、その結果も、今高齢者接種が始まっているファイザー社のワクチンがどの変異株にも有効であるという結果でした」と投稿した[75]。
同日、江田憲司衆議院議員は自身のブログに「(この結果は)横浜の誇り」とした上で、「こうしたデータ、エビデンスに基づくものこそが安心感を与え」「これまで“欧米では”という話しかなかったのが、はじめて“日本では”という形で結実した」と投稿した[25]。片山さつき参議院議員も「山中先生のような人がいれば、コロナの分析はずっと進み」「データと科学で政策を決めていける」と評価した[76]。
その他
「文系から理系に移ったのはなぜか」との問いに、「データに語らせて、その結果に基づき意思決定していくアプローチは様々な問題に有効であり、そこには文系も理系もないのではないか」と答えている[11]。
臨床腫瘍学会誌などへ多くの論文を寄稿。論文は『Journal of Molecular Cell Biology』『The Lancet Oncology』『Clinical Cancer Research』『Annals of Surgery』『World Journal of Surgery』などに掲載された[77][78]。
2020年開催の日本癌治療学会学術集会では医師以外で初めて最優秀演題賞を受賞した[79]。
批判
吉村府知事「イソジン会見」問題
2020年8月4日、大阪府知事の吉村洋文は、松井一郎大阪市長や大阪はびきの医療センター研究者と共同で記者会見を開き、「ポビドンヨードを使ったうがい薬を使って、うがいをすることでコロナの陽性者が減る」という研究結果を発表[80]。この説明の際に吉村が使用したフリップボードにデータの解析者として山中の名前が記されていた[81]。
2021年6月16日、立憲民主党が市長選に向けて山中擁立の方向で調整していることが報じられると[27]、翌6月17日、インターネットメディア「ニュースソクラ」が「横浜市長選候補の山中教授 あのイソジン会見に関与」と題した記事を配信した[82]。
山中は、大阪府に会見時のフリップボードから自身の名前を削除するよう求めた。7月9日、大阪府はインターネットに掲載している会見資料から山中の名前を削除した[83]。
同年7月13日、山中は記者会見を開き、「研究チームに参加した事実はございません」と関与を否定[84]。フリップボードの名前については「無断で掲載されたと認識しております」と述べた。また、ニュースソクラの運営会社に法的措置を含めて対応するとした通知書を送ったと明かした[85]。
同日、自身のウェブサイトに「新型コロナウイルス感染症におけるポビドンヨードの効果と横浜市長選に関連する報道について」との記事を掲載[86]。その中で、従前より全国の研究機関等からの要請に対して週に一回程度データサイエンス領域の助言を行っており、本事案も大阪はびきの医療センターの研究者に「可視化手法などに限ってアドバイス等を行った」ものであると経緯を説明。当然ながら「単にサポートやアドバイスを助言すること」と「解析者として責任ある立場で研究チームに参加すること」は異なるが、それらが混同されていたことによる事案であった。さらに、今回の一連の報道は「事実と異なるフリップ記載から生じたもの」であるとして、報道各社に対し適切な対応を依頼した[要出典]。
同年7月15日、「ニュースソクラ」は編集長・土屋直也名義で「山中が会見で述べた内容は全て虚偽。撤回及び謝罪をこちらが求める」と返した[83]。
パワハラ・アカハラ・経歴詐称疑惑
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この節には複数の問題があります。改善やノートページでの議論にご協力ください。
信頼性について検証が求められています。確認のための情報源が必要です。(2021年9月)
信頼性に問題があるかもしれない資料に基づいており、精度に欠けるかもしれません。(2021年9月)
中立的な観点に基づく疑問が提出されています。(2021年8月)
あまり重要でない事項が過剰に含まれているおそれがあり、整理が求められています。(2021年8月)
山中の経歴などを巡っては、誤りの指摘などがある。早稲田大学政治経済学部を卒業した年は、横浜市立大学公式サイトや日本医療研究開発機構の文書、リサーチマップなどの記述により長い間「1995年」とされてきた[14][87][10]。しかし2021年の横浜市長選挙の際、連合神奈川が公式サイトに「1996年」と記し[88]、山中の落選運動を行った郷原信郎も1996年説を主張したことで混乱が生じた[注 4]。2021年10月6日、横浜市会の委員会で公明党の行田朝仁議員が山中に経歴詐称問題に関して質問し、山中が「1996年卒業」と明言したことでようやく決着した[92]。
NIHでの職歴は、和歌山県立医科大学附属病院、リサーチマップなどの記述により長い間「2002年から2004年までリサーチフェローを務めた」とされてきた[10][89][93]。ところが常勤職員であるリサーチフェローは博士号を取得していることが雇用の条件とされ[94]、山中の博士号取得日が2003年10月16日であったことから(理学・早稲田大学)[95]、市長選出馬表明以後、矛盾点が指摘されるようになった。また、山中がリサーチマップに公表していた情報を削除したことから経歴詐称の疑いももたれた[96][97]。これに関しては2021年12月15日、市議会の政策・総務・財政委員会で山中自身が、NIHへの照会結果として「(自分の肩書は)2002年の7月から2004年の6月まで、ビジティングフェローであるという回答を頂いた」と述べた(後述)[98][99]。
2021年8月2日、「FLASH」の電子版が、山中が高圧的な言動により複数の部下を退職に追い込むなど、横浜市立大学を退職する前に多くのパワーハラスメント、アカデミックハラスメントを行っていたとする記事を配信した[29]。
同日、山中は自身のウェブサイトに「事実無根の報道について」との記事を掲載。報道について「記事内容は憶測をもとに事実無根の内容を記載したものであり、関係者のプライバシー侵害につながる」と抗議を表明。「回答と異なる内容の記事が一方的に公開された場合は、取材に関する事実関係を公表する旨事前に記載していた」として、光文社編集部からの質問状2通と、それに対する回答文を公表した。また記事によれば、自身のサイトに掲載した質問状と回答文のPDFファイルは一部、黒塗りされていたが、本文は全文、テキストのまま保存、作成されてあった。そのため、2021年に山中が論文の著者から外したとされる2人の解析担当者の実名、2019年11月17日に山中が横浜市立大学データサイエンス学部長に送信したメールで言及した2人の学校関係者の名字が当初読める状態にあった。8月4日夜、山中は質問状と回答文を、PDFファイルからJPEGファイルに変換し直して再度掲載。黒塗りの本来の効果は果たされた[100][101][102]。
8月5日、ジャーナリストの及川健二は情報サイト「ニュースサイトしらべぇ」に横浜市長選挙に関する記事を寄稿。及川が横浜市立大学側・大学関係者にあたったところ、「ハラスメント委員会に山中を告発したケースは1件もない」という調査結果が得られたという。これを元に及川は「(山中のパワハラ・アカハラ疑惑は)完全なフェイクニュースだと確信するに至った」と記述した[103]。
同日、立憲民主党に公開質問状を送付するなどして山中の市長としての不適格性を問題にしつつ立候補を表明していた弁護士の郷原信郎は、自身のサイトで立候補取りやめと、小此木、山中の落選運動を行うことを公表した[104]。 郷原はそれとともに山中のパワハラ疑惑、人物について言及。「FLASH」が指摘する内容は信憑性が高いと述べるとともに、横浜市大の関係者内部からと思える匿名文書を引用し、そこに書かれていることが事実だとすると、「山中氏は、データサイエンティスト、コロナの専門家を売りにして市長選に立候補することを表明しているが、それらはすべて『虚飾』で、(中略)あるように見せかけて自分のポストを得てきた人物だということになる。私は、同分野の専門家を含む知人や関係者に話を聞き、情報を収集するなどして、上記匿名文書の信憑性を確認した」と書いた[102]。
8月6日、「Business Journal」(サイゾーが運営するニュースサイト)は、横浜市立大学医学部の水木信久教授の「山中氏が在職中に学内でハラスメントをしていたという話は聞いたことがありません」というコメントを記事に掲載 [105]。立憲民主党は、党神奈川県連合のツイッターに「ニュースサイトしらべぇ」の記事と「Business Journal」の記事のリンクを掲示している[106][107]。
同日、郷原は自身のサイトを更新。「山中がリサーチマップに公開していたアメリカ国立衛生研究所で2002年から2004年にかけてリサーチフェローを務めていたとする情報[10]は詐称の疑いがある」「山中はリサーチマップに公開していた内容を、市長選出馬の話が表面化した段階で削除した。研究者の経歴を持つ人間として、その実績をアピールして市長選挙に立候補するのだから、削除することは通常あり得ない」と述べた[96][注 5]。
8月7日、「FLASH」の電子版が、8月2日に配信した山中のパワハラ疑惑への反論において、山中が被害者の実名が分かる状態で自身のウェブサイト上に公開していたとする記事を配信した[100]。
8月17日、郷原は自身のサイトに、山中からパワハラ被害を受けたと証言する人物(以下、Aとする)が録音した山中との電話の会話の音声データを公表。郷原はAの音声部分は消去し、会話の文字起こしをあわせて掲載した[111]。
8月18日、及川健二は再び情報サイト「ニュースサイトしらべぇ」に記事を寄稿。及川は、山中陣営が音声データの声は山中であると認めたことを明らかにし、さらに陣営の内部文章とされる文書を公開。文書では「今般、インターネットの動画投稿サイトにおいて、『山中竹春パワハラ音声』といった音声録音が字幕入りで流されていた。これは、約2年前の会話が無断で録音されたものであり、この時期にインターネット上で流布されていることについて、大きな問題を感じる。この会話は、切り取って掲載した人物の意図と全く違う状況でかわされたものである。2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究を横浜市立大学で行なっており、内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究の非常に重要なプロジェクトだった。この音声は、当該研究の担当者が期日までに海外の研究機関等に必要な連絡や書面作成を行わなかったことが明らかになり、また、突如としてプロジェクトから離脱する意思を示したことから、プロジェクトの継続が危ぶまれることとなった状況下で当該人物と山中竹春とで行なった会話の一部である。この人物による職務不履行はこれまでにもあり、納期のある研究等において支障をきたす状況が続いていた」と説明がなされていた[112]。
この報道を受けて8月19日、郷原はサイトを更新。内部文書とされる文書でいうところの「プロジェクト」は「SUNRISE-DI試験」であり、「担当者」とは「FLASH」の記事で被害者として紹介された「Cさん」に間違いないと述べた。その上で、音声データを提供したAは横浜市立大学と契約を締結しようとしていた小企業の役員だと明かし、Aと「Cさん」は別人であると述べた[113]。
8月22日、投票締め切りの午後8時と同時に山中の当選確実が報じられた。朝日新聞は1分後、「感染爆発下の横浜市長選、『コロナ専門家』が制す」と題した記事を配信した[114]。
同日、郷原はサイトを更新。「山中氏が医師でも医学者でもないのに、選挙公報で『コロナの専門家』[42]と記載していることについて、虚偽事項公表罪に該当するのではないかとの指摘がある。『コロナの専門家』というのは、多くの人が『感染症医学の専門家』という意味で理解している。山中氏本人に『虚偽の事実』という認識がなければ犯罪は成立しないが、有権者に重大な誤解を与えていることは確かである」と述べた[115]。
8月24日、「日本タイムズ」発行人の川上道大は、山中に「強要未遂」や「経歴詐称」などの疑いがあるとして横浜地方検察庁に告発状を提出した[116]。
8月30日、市長就任会見が開催される。山中は経歴に関する疑義を問われた際、以下のように回答した。
記者 - 2002年から2004年までアメリカの国立衛生研究所でリサーチフェローをしていたのは事実か。
山中 - ナショナル・インスティテューツ・オブ・ヘルス、NIHで研究員をやっていたことに関して詐称はない。
記者 - リサーチフェローという肩書でよろしいか。
山中 - 研究員をあらわす一般的な用語としてリサーチフェローという言葉を使ったことはある。ただリサーチフェローに関しては様々な定義がある。様々というか、機関ごとに定義が違う場合がある。
記者 - それではリサーチフェローであったことは事実だということか。
山中 - 研究員であったことに関しては詐称はない。あるいはフェローという言葉を使ったこともある。
— 横浜市長就任記者会見、2021年8月30日、横浜市役所9階[110]
9月6日、郷原は、花上喜代志市議と今野典人市議が市長選をめぐり横浜市立大学当局に不当な圧力をかけたとして、事実解明と再発防止を求める請願書を市議会に提出した。請願書では、「市会議員らが市立大当局に対して、立候補予定者だった山中を称賛し大学として推薦するかのような文書を発出させる不当圧力事案が発生した」と指摘がなされた。郷原は提出後、記者会見し、当該圧力事案には山中本人も加わっていたと主張した。請願書は9月24日の政策・総務・財政委員会で審査された[117][118]。
市長就任記者会見の質疑に参加した記者は会見後、アメリカ国立衛生研究所の付属機関「アメリカ国立環境健康科学研究所(NIEHS)」に、電話とメールで山中の在籍情報を問い合わせた。9月16日、記者はNIEHSの返信メールをニュースサイトに公開。NIEHSは「His formal title at NIEHS was "Visiting Fellow". He worked in a research laboratory.」と回答し、山中の肩書が「リサーチ・フェロー」ではなく「ビジティング・フェロー」であったこと、ビジティング・フェローの在籍期間が「2003年11月1日~2004年6月30日」であったことが明らかにされた[97]。
告発状を横浜地検に提出していた「日本タイムズ」の川上道大は代理人を郷原に依頼。郷原は地検側と協議を行い、正式受理に向けて必要な補足事項を調整。9月13日付で修正版の告発状を提出し、横浜地検は10月5日に受理した。告発状によると、山中は2019年12月、横浜市立大学に対して営業活動を行っていた会社社長に対し、義務がないにもかかわらず外国人の関係者に向けた英文のメール作成などを要求。拒否した社長に「日本の大学病院に多く入れられなくなるよ」などと伝えた、としている[119][120]。
12月15日、「横浜市立大学への不当圧力問題」の事実解明等の請願が付託された市議会の政策・総務・財務委員会に、参考人として出席。横山正人市議が経歴詐称問題に関して質問すると、山中は「NIHから電子署名付きの証明書を頂いた」「NIHについては2002年の7月から2004年の6月まで、ビジティングフェローであるというような回答を頂いた」と答えた[98]。
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