の続きとして、
よくマスメディアがいう
「国民年金は払った分より多く貰えるかどうか」
について検証していきます。
結論からいえば、現時点の制度で現在の税・金利・年金保険料・受給額がずっと継続した場合でも、受け取れる金額はマイナスになります。
その最も大きな理由は「税金」です。
現在、労働者層は高齢者を支えるために毎月16590円の国民年金保険料を支払っています。
現在の制度はあくまで賦課制なので、将来の自分の生活のための積立ではありません。
現実世界では、高齢化やインフレの状況、平均寿命に合わせて、保険料や社会保障費の税金は増大していくと思われますが、本分析では現時点の状況が常に継続すると仮定して分析を行います。
年金保険料等支払額と受給総額の比較
●年金保険料
先に述べた通り、R4.4~の国民年金保険料は16590円/月。
これを40年間、つまり480カ月支払い続けると
16590円 ✕ 480か月 = 7,963,200円
つまり、生涯で約800万円を支払うことになる。
●年金の税金負担分
以上の図のとおり、年金の不足分は税金で賄われている。
その額は令和4年度ベースで13.4兆円である。
この13.4兆円のうち、どれだけを負担しているかを計算するには、まず生涯に支払う税金の総額✕年金補填分/国の税収の総額を計算する必要がある。
プレジデントオンラインによれば、生涯年収3億2千万円の男性の生涯納める税金は所得税+住民税+退職金への課税で約4268万円。
これに消費税、酒税、ガソリン税などの他の税金を加えると約5500万円が税金としてとられることになる。
2020年度の財務省資料によれば、一般会計の税収は約65兆円。
内13.4兆円が年金補填分なので、税金の約20%が国民年金の補填に使用されていることになる。
税収の内、法人税は会社が支払うものであり個人からの税収ではない。
法人税は約12兆円。よって53兆円/65兆円✕20%が個人の年金負担分となる。
計算式は
5500万円✕(53/65)×20%= 896万円
即ち、生涯支払う税金の約5500万円の内、約900万円は年金のために使用される。
(※生涯年収に左右されるので人により変化する。)
●生涯に支払う国民年金のための支払い総額
国民年金保険料800万円+税金からの補填分900万円
=1700万円
●男性の年金受給総額
現在、国民年金の支給額は65000円/月。
男性の平均寿命は、81.47歳。
平均寿命まで生きたとすると、65歳から年金を受給したとして、16.5年間分の年金を受給できる。すなわち男性の生涯の平均受給額は、
65000✕16.5年✕12ヵ月=1287万円
●結論
年金保険料等支払額は約1700万円、支給額は1287万円
よって、現行の制度等で年金を納付し続けると413万円損をするととなる。
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