2022年12月17日、岸田政権は国家安全保障戦略、国防戦略、防衛力整備計画のいわゆる3文書を閣議決定した。
今回は以下に国家安全保障戦略について、気になる点を述べたい。
(趣旨)
文書の出鼻から脈絡のない文章。
恐らく、「国債社会は時代を画する変化に直面している」の前にこの具体的な内容である、ロシアのウクライナ侵攻、中国の現状変更の試み、北朝鮮のミサイル・核の脅威等があったのだろうが、文言調整の段階で公明党にでも消されたのだろう。

(サイバー)
サイバー攻撃の脅威「身代金の要求」即ちランサムウェア攻撃に言及しているのは興味深い。
昨年(2021年)米国で発生したコロニアルパイプライン事案などが念頭か。
幸い日本はlanguage barrierもありオリンピックでも大きな被害は無かった。
「選挙干渉」は既に米国のサイバー軍などが行っているが、将来的に選挙の電子化を目論んでいるということだろうか。

(情報力)
安全保障の主要な要素「外交」「防衛」「経済」「技術」に並んで5番目に「情報力」の記載。
「政策とインテルの連携」は米国の国家情報長官のようなポジションを作る意志があるのだろうか。
「官民の情報保全」は経済安全保障と合わせて米国との機密情報の共有を念頭においているのだろう。

(台湾)
昨年の3月の日米「2+2」以降様々な場面で用いられてきたが安保戦略にも記載。 10月に発出された米国のNSSには記載はなかったと思うがそこは地政学的な危機感と実害を受ける立場から入れ込んだというところか。 台湾は喜んでるだろうね。

(気候変動)
気候変動は国によってかなり重要な要素。 日本はあまり影響は受けないが、海面上昇はモルディブや大洋州諸国からすると国の存亡にかかる切実な問題だ。 これらの国々と中国の脅威について論じても全く関心がなく、彼らににとっての防衛安保はまさに気候変動=海面上昇であることに気付く。

(反撃能力)
反撃能力のくだりはもはや国会答弁。 こんなものを国家安全保障戦略に記載しなければならないとは…。 核ミサイルや韓国のような超大型巡航ミサイルをもたない限り実質的防衛の観点で反撃能力はほぼ無意味。作戦戦闘や兵器の性能が分かってない人々は騒ぎすぎ。


(海保)
海保との協力は画期的な取り組み。歴史を紐解くと1944年に海自は警察予備隊や保安隊でありまさに海自の予備だった。 海保は軍事に関与しないことをモットーにしてきたが元々自分の予備であった海自の統制下に入るのはプライドが許さない。今回は予算取りのためにプライドを捨てたのだろう。

(ハラスメント)
先日直接関与した5人の隊員が懲戒免職になったが、どうみても五ノ井さんのセクハラ告発の影響を受けて記載された文言。 国家安全保障戦略の次元に「女性隊員」という具体的な固有名詞が入るのは異例だろう。

(サイバー②)
サイバーについて 能動的サイバー防御って具体的になんだろう。 恐らく政府のネットワーク外に出張っていって悪意あるサイバー活動を監視するということだろうけど、憲法上の通信の秘密や不正アクセス禁止法に抵触する気もする。 警察の捜査権限や公務としての正当行為としてやるのだろうか。

(宇宙)
少し前に聞いたところだとコンステレーション衛星は既に5機あげているところだろうが最終的には10基以上を目指しているのかな。たしか7~8基で常に日本の上空にいずれか複数の衛星がある状態になるとか。

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