元総務相で経済学者の竹中平蔵氏(71)の発言に対し、SNSなどで怒りの声が広がっている。
「若い世代から『年金をもらえるのか』『年金で暮らせるのか』っていう質問がありましたけども。『もらえるのか』ということに関しては、これはもらえます。要するに一般会計からの充填もあるわけですから。民間より絶対的に有利で、かつ政府というのは課税権を持っているわけですから」
上記に加えて、竹中氏は「年金のみで暮らしていくことはできない」とも補足している。
年金制度とは
厚労省資料によると、
●「公的年金制度は仕送りを社会化したもの」され、現役の世代が保険料を納め、その時々の高齢者の給付金にあてる仕組み(賦課方式)
としている。
●なお、我が国においては、将来の高齢化の進展に備え相当程度の積立金を保有し、その活用により、 将来世代の保険料水準が高くなりすぎないよう配慮している。
☛ つまり、高齢者世代が若者にと比較して多くなればなる程、若者の負担が増える。
もちろん、今後は更に高齢化が進むことは確実でいずれ現役世代も負担しきれなくなる。
そうなれば、給付額を減らさざるを得ない。
公的年金は、予測できない将来に備える生涯にわたる「保険」。
☛物価変動や人生の予測困難性に対応するために現役世代が払うことで確実性が増す。
これは確かに正しい。
●年金制度は、「3階建て」の構造。
●1・2階部分の公的年金が国民の老後生活の基本を支え、3階部分の企業年金・個人年金と合わせて 老後生活の多様なニーズに対応。
☛今、政府が検討しているのは厚生年金で国民年金を補填するという不平等極まりない政策。つまり、厚生年金を払っていない人間の分を払った人間が負担するという保険としてはあってはならないものだ。
●国民年金及び厚生年金の金額は毎年値上げされてきた。
・現在、国民年金が16900円/月、厚生年金が報酬の18.3%
☛ 今後間違いなく更に上昇していくことになるが、国民の平均給与は上がっていない。
即ち、受給額に比し払う額が多くなっているということだ。
現在の貰える年金は平均で国民年金月5.6万+厚生年金14.6万。
公的年金の規模と役割
実は既に年金は保険料に加え、国庫負担が13.4兆円となっている。
☛ 若い世代は年金の保険料に加え、税金という形で年金を支払っている。
実は見えないところでも年金を取られているのである。
また、現在でも約5割の高齢者が年金頼みで生活している。
よって、現状年金の役割は「高齢者の生活を保証すること」と言える。
他方、冒頭、竹中平蔵氏の記事では「年金は将来ももらえる」が「それで暮らしていくことはできない」と説明。
つまり、将来的に年金制度は暮らしを保証するものではなくお小遣い程度のものになることが予想される。
何故、年金制度は負のネズミ講と呼ばれるか
ネズミ講とは、
組織の会員になるには、(紹介者への)金品の支払いが必要であり、自分が会員になると次は、一人会員を増やすごとに、紹介料として「一部の金品」を得ることができる。
そうやって、親会員から子会員へ、子から孫へと無制限に増殖していき、一番上の親が最も儲かるシステムのこと。
特徴は
組織は、ねずみ算的に拡大してゆくシステムになっている
上の階層の人が、下の階層の人より儲かるシステムになっている
商品の販売が目的ではなく、金品の受け渡しが目的となっている
法律で禁止されている
日本の人口ピラミッドの推移は以下のとおり。
1900年代は若い世代が圧倒的に多く、年金開始時は月数百円~を支払うことでその世代は高齢者になり低額の保険料で年金の恩恵を享受している。
他方で2000年~の若い世代は毎年上がる高額の保険料を支払い続け、自分達が高齢者になる頃には少子化により労働世代が極めて少なくなるため給付額が極端に減る。
要は昔の人間ほど低い保険料で大きな恩恵を受け、現在から将来の世代ほど大きく損をする構造になっている。
つまり、形は違うが上の階層の人が下の階層より儲かるシステムという観点で国家規模のネズミ講と言えるのである。
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